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2009年7月の記事

● 通りがかりの人が教えてくれること

通りかかるみんながのぞいていく。カメラをまわす人も。音に引かれて子どもたちも集まった。暑さの際立つ昼下がりに、釜ヶ崎夏まつりで出演するバンドの公開練習が行われた。スタッフもメンバーとして参加。居合わせた人も楽器を手にかまのブルースを奏でる。おっちゃんも、子どもといっしょに太鼓を叩いて和んでいた。

 

そのおっちゃんだが、生活保護を受けながら、福祉マンションで暮らしている。運動がてら通りかかったかまめ!で、にぎやかな音楽と力道山の字を目にし、立ち止まってくれた。福祉マンションの環境が悪いことや、体もガタがきていることなど、話してくれた。

 

“福祉マンションとは名ばかりで、3畳一間のドヤと同じ。ゴキブリもでるし、引越したいのだけど”と言う。病院が紹介してくればところで、先生を裏切るわけにはいかないというのだ。このような話は紙芝居劇むすびのメンバーからも来たことがある。一番しんどいときに衣(医)食住で支援してくれた人は先生であり、義理堅い存在のようである。

 

高校のとき、集団就職で愛媛から大阪に出てきて、紡績工場や土方をやり、いよいよ仕事がなってくると野宿もしたそうだ。2年前に今のマンションで生活保護を受ける。日々を送っている。2年前に取ったのだろう写真と比べると、まるで別人のように今はやせている。話ているときは、とても楽しそうで、この日は3回も来てくれた。

 

そういえば、おっちゃんたちの不思議な行動に、しばしば身分証明となるものを見せてくれる。求めていないのだが、住所や連絡先を教えてくれる。心配を払うかのように、ポケットから手帳などを引っ張り出して前に突き出す。自分を表現するすべが、身分証明書なのか。

 

夜、通りかかった中高年の人が釜ヶ崎の古写真に目をとめる。奈良で行われている高校総体に来ており、宿泊先として釜のドヤを選んで、ここを通りかかった。突然、ひそひそっと“昔はとてもじゃないけど恐くて来られなかったよ。得体の知れない人がいるようで”と釜ヶ崎のことを話してくれる。この言葉もよく耳にする。今は昔ほどしょんべん臭くないし、歩けないほどの恐さもない。

 

変わりつつある釜ヶ崎を、通りかかるいろんな人たちが教えてくれる。

ひらかわ

● セキさんバンド公開練習

7月29日(水) 15:00-16:00

釜ヶ崎夏まつり&7月31日大国町のなにか?に出演決定!みんなでわいわい歌おう!バンドの名前も募集中!!!

● だんらん気分

おやつでだんらん、といった感じの一日となった。まずは医療センターのスタッフがプリンの差し入れを片手にかまめ!にやってきた。偶然居合わせた人たちとプリンをほおばる。お相手は、自称“障がい者で演歌歌手”だ。今日も嫌味のない愛嬌をふりまいて、マイペースにおしゃべりを披露して帰る。

 

次は、お茶会が急きょ開かれた。時々パソコンを教えている近所のおっちゃんで、その大きな体格と荒っぽい風貌からは想像しがたいのだが、お茶が趣味である。奈良から来た20代の女性と、医療センターの人とで、和菓子と抹茶を楽しむ。その側では、20代が50代に携帯電話の使い方を教える姿や、“年寄りの冷や水だからやめとけ”と茶化すおっちゃんなど、妙なコミュニケーションが生まれていた。

 

その後もいろんな状況は続く。アメリカとスペインからの旅行客が、インターネットをしているところに“ジャパニーズ・クッキー”と明るい声が飛び交う。おっちゃんが、せんべいと缶コーヒーをみんあにおすそ分けしてくれた。いつも花の世話をしてくれる人だ。今日は、大阪市立更正相談所に行って、生活保護の相談をしようか、と話してくれた。

 

まだまだ続く。“歌の練習をしにきました”と言ってカマン!TVで子ども向け番組の歌を何曲も口ずさんでいく人も来た。“ジャパニーズ・クッキー”のおっちゃんと、おかしな会話を繰り広げていた。障がい者の歌うたいは、独特なリズムで“コンクリートでできたコップはなぜ作業所にないの♪”といったこれまた変な質問に“コンクリートはアルカリが強いから、飲み物を入れたら飲めなくなるよ”と、まじめに返している。確かにそうだけど、ここまで丁寧に答える人は、そうそういないなあと、そのおもしろい状況を見守った。

 

いわゆるコミュニケーションとは違う関係があるような気がする。コミュニケーションすると言うのは、どこかお仕着せがましい。立場を異にしてきた者同士が、この場を楽しむことに、特別なコミュニケーションスキルはいらない。実際、ここでは、みながだんらん気分を味わっている。

 

ひらかわ

 

● 今日のことば

昨日、ちゃりちゃり散歩に来てくれたおっちゃんが、参加した女の子にとCDを持ってきた。“のりちゃんと、ともちゃんに渡してくれ”女の子の名前だけはしっかりと憶えている。そんなおっちゃんだが、散歩後のだんらんで、自分の若いころの話をしてくれた。だいぶ説教まじりな感じもしたが、釜ヶ崎で運動していたころ出会った女学生と恋をし、勘当寸前のところで結婚。今は26になる息子がいること。そして、28で妻をがんでなくしたことなどを話してくれた。そんな中、支えとなったのは夢だそうだ。若者に夢を持てと語っていた。おっちゃんの今の夢はと聞くと、“世界旅行をすることだな。そしてオードリーのような女性と恋愛する”と返ってきた。“そして岡山のいなかに帰って畑仕事で汗をかいて”そんな夢を持っている。

 

お昼時に現れた徳島出身のおっちゃん。“ここは何するところや”と訊ねる。“わしがつくった机と将棋盤があるが、それは誰にも売りたくない。でも、わしとおまえとの関係でここに置くのはどうだ?すずしげだろう。みんなの眼を惹くぞ”力作だろう自慢の机と将棋盤について話をする。そんなおっちゃんも、大工をしていたが最近、首になって徳島に帰ろうと思っている。大好きな将棋を三桂クラブで一局さして、今日の夜行バスで徳島に向かうそうだ。

 

この地域の古写真を見た別のおっちゃんが、ふたたび“ここは何するところや”とかまめ!をのぞく。いろんな人たちが交流できる場所をと説明すると、それならたこ焼きとの答えが。たこ焼き機とタネだけ用意して後は自分で焼いてもらう仕組みにするのがいいらしい。“とっておきのいいことを教えてやるぞ”と明かしてくれたことは、ミシンを置いて簡単な修理ができるようにするといものだった。わしみたいに汚れた襟も裏返して付け替えればまだまだ使えると、襟の部分を襟を見せてくれる。アイデアらしきものがおっちゃんの頭の中から出てきた。じつに経験も、技術も、アイデアも豊富である。そして決まって“ここは何するところや”と聞いてくる。そんなおっちゃんたちの好奇心を待っている。

 

ひらかわ

 

● ちゃりちゃり散歩で水遊び?

 

自転車で行けるとこまでのんびり散歩する。参加者も自転車好きな女の子がいれば、勢いで参加するおっちゃんもいる。そんなちぐはぐメンバーと珍道中を楽しみながら、意外に知らなかったまちの様子を垣間見る社会見学。これがちゃりちゃり散歩なのだ!

 

今回のちゃりちゃり散歩は、水のあるところへと自転車を走らせた。鶴見橋商店街界隈の細い道ばたで見つけた手押しポンプを前に、路地奥の住民が“まだ使えるよ”とひと言。あいさつを交わしさっそく柄を上下させると、見事に冷たい水がザバッと出てくる出てくる。井戸の冷たい水とまちの温もりを感じるひとコマに感謝をこめて、隣のお地蔵さまにみんなで手を合わせ、次なる場所へと出発する。

 

渡船場にたどり着くと、入り口にはナゼか二宮金次郎が!?まちにはいろんな不可解がひそんでいる。そんなゆるさもまちの懐深さなのか、見るものを楽しませてくれる。木津川水門を眺めながら、夏休みの小学生らと小さな船に揺られていざ!大正区に。そこは工場ひしめくビックスケール地帯。水のあるところに工場あり。巨大な建物に囲まれながら、いくつもの橋を渡る。簡素な構造体に複雑に組まれたダクト。油まみれ埃まみれの年季が、独特の雰囲気を醸している工場群の一角を、ペダルを力強くこぎ続ける。安治川トンネルをくぐって川を渡り、野田の古いまちなみに前後左右に感じながら、雨が降る前にとかまめ!へと急ぐ。途中、おっちゃんのおごりでタコ焼きをほおばったり、安治川倉庫FLOATという住居兼オープンスペースでアート展を堪能したり、祭りや葬式などの儀式にも遭遇した。

 

まちに出ると、ちょっとした開放感に包まれる。みんなと風を切って自転車をこぎ出せば、おしゃべりのスイッチだって入る。でも、見ているものは特別なものでもなく、日常の一部ばかり。そんな、ちょっとしたまちでの発見でも、今まで話すことのなかった人同士をつなげ、それぞれの記憶と可能性を引き出してくれる気がする。

 

ひらかわ

 

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